2015.04.02

楽曲・音源の作り方

レコードやCDで音楽を聴く方法以外に、mp3プレーヤーやパソコンなどで音楽を聴く機会が増えた昨今。

それに伴い、制作の需要もCDにするためではなく、mp3やwaveファイルなどの音源データの需要がかなり増えてきた。インターネット配信用だったり、映像、アプリ、ゲームに合わせたいという需要だ。もちろん音源データがあればCDも作れる。

ここでは楽曲・音源の作り方の基本的な流れをご紹介する。把握しておくと、音源の制作を人にお願いする時に一緒に考える事ができたり、自分で作る場合の参考にもなるだろう。

(本記事と共に「目的に応じた音楽製作の方法」を読む事をお勧めします。)

以下にご紹介するのはあくまでも作り方の一例であり、ケースに応じて柔軟な制作をすることが大事だが、ご参考にしていただければと思う。

1. 作詞・作曲

歌ものの場合は詩が必要になる。詩を作るのは曲を作る前でも後でもどちらでも良い。その時にあった方法を選ぶ。

歌のない楽曲の場合は、モチーフとなるメロディなどを考える。音楽のジャンルは様々あるので、メロディのない楽曲ももちろんある。

作詞した物は紙に書き出してもいいし、作ったメロディと一緒にスマホなどに録音しておいても良い。譜面が書けるなら譜面として残しておくのもいいだろう。

この段階で、完成した楽曲の雰囲気を心のどこかに感じていることと思う。この後の工程でそれを具体的にしても良いし、別の雰囲気を探していくのも良い。完成まではまだ多くの工程がある。

 

2. アレンジ

次に、アレンジを考える。メロディーと歌だけではダメということは無いが、多くの音楽は伴奏(いわゆるアレンジ、編曲)を加える事により、豊かな音楽になる。

アレンジはとても大事だ。アレンジによって同じメロディ、同じ歌詞でも、全く違う印象に変わる。どんなに素晴らしい歌詞やメロディでも悪くなってしまうし、また良くもなる。

アレンジによって音楽のジャンルも決まってくる。アレンジはジャンルごとに異なるノウハウがある。クラシック系の音楽を作るのがうまい人が、ポップスやクラブミュージック系の音楽を作るのがうまいとは限らない。どのジャンルも深いノウハウがあり、それぞれ習得に時間と努力が必要だ。

アレンジは譜面に残してもいいし、音楽ソフトで作り込んでも良い。今は便利なソフトが増え、必ずしも譜面が読めなくてはアレンジできないというわけではないが、どちらにしてもノウハウの習得が必要だ。

 

3. レコーディング

詞、曲、アレンジが固まったら、いよいよレコーディングを行う。

レコーディングはレコーディングスタジオで行うと、専門のエンジニアが素晴らしい音質でレコーディングを行ってくれるが、スタジオの機材やエンジニアの個性によって、完成音源の音質に影響があることは理解しておくと良いだろう。

また、昨今は便利なソフトが普及しており、良い機材を持ち込めば、専用スタジオでなくてもそれなりの音が録音できるし、場所を選んであえてそのような録り方をする場合もある。

当然レコーディングにも深いノウハウがあり、ある程度よいクオリティの音源を制作するならば、そのノウハウを理解した人にお願いするのが良いだろう。

レコーディングは楽器ごとに録音していく場合が多い。例えば、ピアノを先に録り、ピアノを聴きながら別のチャンネルに歌を録音するといった具合だ。このように別々のチャンネル(トラックという)に録音しておくと、後の工程で様々な調整が可能となる。一発で全楽器を録音すると、後で各楽器のバランスを変えるのが非常に困難となる。ただし、一発録音はその時の真剣さや空気感も一緒に録音できるので、あえて一発録音をする場合もある。

ジャンルによっては、マイクなどの録音は一切行わず、ソフトシンセサイザーやソフトサンプラーなどで、レコーディングの代わりとなるような作り方をする場合もある。最近はこの作り方とマイクを用いたレコーディングを併用するケースも非常に多い。例えば楽器の音は全てソフトで作り、ボーカルだけはマイクで録音するケースなどだ。

ただし、ソフトで作る演奏と、実際に人が演奏したものとでは、いわゆる人間らしい味や雰囲気が異なる事は理解しておこう。どちらが良いとかではなく、ケースに応じて選択すのが良い。

 

4. ミックスダウン

レコーディングが各楽器ごとにできたら、ミックスダウンを行う。ミックスダウンとは、各楽器のバランスを整える、楽器ごとのぶつかっている周波数を調整する、空気感を付与するなど、心地よく聴けるように音を作っていく作業だ。

そのようにして音を混ぜたものをステレオ音源にする(ミックスダウンする)。世の中に出回っているほとんどの音楽は、スピーカーの右側と左側から流れてくる音が別々の情報として作られており、ステレオ音源とは、右側と左側の音の情報を一つのパッケージとして作られた音源だ。対して右も左も無く、一つのチャンネルのみの音源をモノラル音源という。その他5.1チャンネルなどいろいろな音源があるが、ステレオ音源の需要が多い。

ミックスダウンも専門のエンジニアが存在し、ノウハウは大変深く、習得には耳の良さ、センスの良さ、経験の他、素質も重要となる。この工程において、できあがる音源のクオリティの差は顕著だ。

同じ具材や調味料を使って料理しても、作る人によって美味しさが変わるように、ミックスダウンで音源の良さは大きく変わることを覚えておこう。

 

5. マスタリング

もともとマスタリングとは、CDなどを量産プレスするための原盤(マスター)を作成するという意味で使われていたが、最近は、CDは作らず音源データのみを作成し、映像に合わせたりインターネットで配信するという需要が増えたためか、ミックスダウンされたステレオ音源をブラッシュアップするという意味で使われる事が多くなった。

いずれにしても、マスタリングも専門のエンジニアがいるほどノウハウが深い。

ここでいうブラッシュアップとは、音が迫力のある感じに聞こえるようにしたり、全体の音質のバランスを整えたりする事だ。

 

以上、簡単に楽曲・音源の作り方の基本的な流れをご紹介したが、どの工程も、人生をかけている専門家がいるほど、できあがる音源に大きな影響を及ぼす。また、ジャンルによっても各工程のノウハウは異なり、その分だけ専門家の得手不得手は細分化される。

音楽は目に見えないため、ささいな違いは聴く人の耳には意識的に分からないかもしれないが、そのわずかな違いが、与える印象やその後の行動を大きく変える。各工程の専門家は、その事をよく理解しているため、たった数MBの音源データの作成のために多くの時間と努力を惜しまないのだ。

完成する1曲分のデータ容量はそんなに大きくないかもしれないが、たったその数MBのデータが大きな影響と可能性を持ち、良質な音源データを作るためはそれなりの工夫や努力が必要であることを理解しておこう。

各工程の詳細については、別の機会にご紹介できればと思う。

 

執筆 nooto SOUND DESIGN(ノオト サウンドデザイン) 澤田真吾
http://www.nooto-sound.jp/