2015.03.15

目的に応じた音楽製作の方法

一言で音楽制作と言っても、様々な音楽や制作方法があり、それらの持つ効果には大きな違いがある。

インターネットやテクノロジーの発達した昨今では、一昔に比べると容易に映像や音楽を人々に届ける事ができるようになり、それを用いて様々なブランディングやプロモーションを行おうと考える企業や個人も多くなってきている。

本記事では、より効果的な音楽製作を行えるよう、基本的な考え方をご紹介する。

1. 何のための音楽か

当然だが、何に使う音楽であるかを明確にする。オリジナルソングなのか、アプリにつけるBGMなのか、映像につける音なのか。こういった基本的な背景が実はとても大事で、明確にしておくと、他人と共同で制作する時にイメージのすれ違いが生じにくくなる。

制作を進める前に今一度、明確にしておくのが良い。

 

 2. 目的に対する効果を設計する

音楽制作を進める上で、最も大事になるのが、目的に対する効果の設計だ。

この設計をどれだけきちんとできるかどうかで、仕上がりのほとんどが決まると言っても過言ではない。多くのクライアントや制作者がこれをおろそかにし、目的を果たせない事も多いようである。

モノ作りをする際、機能性や美しさを考えてモノを作るように、音や音楽も機能性や美しさを意識してデザインする。音の機能や美しさにより、注意を引く、印象にバイアスをかけるなどの効果が期待できる。

多くの音楽は、音楽単体では成り立たない。オリジナルソングや社歌ならアーティストの個性や会社の扱う製品、BGMなら映像やイベントの内容など、大抵は音楽に付随する物がある。新しいサウンドを作るにあたり、目的のない音楽はないはずだ。

例えば、動画ならば映像+音楽を、イベントならば演出+音楽を受け取った顧客が、どのように感じ、どのように行動して欲しいのか。つまり、「このように行動してほしい(目的)のでこのような印象を与えたい(効果)」というような設計をできるだけ具体的にすることである。

 

3. どのような音楽を作るか

目指すべき効果がはっきりしているならば、この効果をだすための音楽を考える。

音は、それ単体や組み合わせによって、様々な効果を発揮する。音色、リズム、音の高さや大きさ、和音や響きなど、挙げればキリが無いが、様々な組み合わせにより、効果はいろいろと変化する。与えたい印象にできるだけ近い音楽を考えよう。

音は目に見えないので、なかなかイメージしづらいと思うが、一つの要素が変わるだけで、効果と受け手の行動は大きく変わる。(音楽と行動への影響については、音楽心理学などの分野で分かっている事も多くあり、これは別の機会に紹介する。)

どのような音楽を作るかは、経験だけに頼るのではなく、参考になる音楽を探しながら決めるのもありだろう。

また、音楽を作って、音源にするのか(音楽データを作るのか)、生演奏で披露するのかなど、完成の形はいくつかある。この完成の形もはっきりさせておこう。音源ならばmp3やwaveファイル、生演奏用なら譜面やメモもしくは演奏できる状態、インタラクティブ作品ならばシステムの構築という具合だ。

音楽を作る=音楽データを作る、譜面を作る、生演奏できる状態を作る、etc

 

4. 自分で作るか人に頼むか

音楽を作りたいと思うのは音楽家や作曲家だけではない。自社プロモーションの動画やweb、アプリ、プレゼントの音楽等、さまざまな目的で音楽を作りたいと思う人がいる。

過去にバンドや楽器の経験があったりするならば、思い切って自分で作るのもありだろう。知識に縛られない個性のある楽曲ができるかもしれない。鼻歌だって立派な音楽だ。

人に頼む場合は、少々注意深く事を進めたい。上述した効果や目的をできるだけきちんと伝え、それらの効果を発揮する音楽の知識と経験が豊かな人に頼む。音楽に携わる人は個性豊かな人が多いので、目的の個性にあっていたり、どのような目的にも柔軟に対応できる人が好ましい。

 

5. 自分で作るポイント

自分で作る場合のポイントをいくつか挙げておく。

5−1. 個性を活かす

声や自分の演奏というのは、それだけで個性がある。モノマネが得意な人や変幻自在の演奏ができるようなプロの演奏家なら話は別だが、大抵の人はそうではないので、自分の個性を活かすといいだろう。

初めて曲を作る人に、自由に曲を作る課題を与えると、面白いほどその人らしい音楽ができあがってくる。これらは、完成度は低いかもしれないが、とても味のある音楽である場合が多い。音楽は生き様だなんて言葉があるが、案外その通りなのではないだろうか。その味を活かす。

5−2. 苦手な事は人に頼む

自分で作る場合、ついつい全部自分でやりたくなってしまうが、編曲や楽器演奏、レコーディングやミックスダウン(音を整える作業)などの習得には、それぞれの専門家がいるほど多くの時間と努力を要する。また、その一つ一つの過程により出来上がりのクオリティは格段に変わる。

歌詞と歌、ギターの弾き語りまでは自分でやるけど、後は人に思い切ってお願いするというのもいいだろう。ただしその場合は、上述の効果と目的だけはきちんと伝えないと、全然思っていたものと違う音楽ができあがるので注意しよう。

5−3.人の意見を参考にする

自分の作品というのは愛着があったり、作っている本人が一番多く聴くことになるので、いいのか悪いのか、目的の効果がどれくらいあるのか、だんだん分からなくなってくる。

こればかりは経験も必要だが、経験ある人でもこのような事を不安に感じながら注意深く作業を進める人も多い。

音楽は個人的な体験によっても印象が異なる事があるので、一人の人の意見を鵜呑みにするのではなく、何人かの人の意見を参考にし、自分なりに判断をしよう。

 

今回は音楽的な中身というよりも、音楽製作における全体のフローを中心に書いた。音楽的な中身(基礎的な理論や音楽心理学)については別の機会に紹介する予定だ。

音楽制作を頼む側も頼まれる側も、本記事のような事を理解しておくと、どちらの側も無駄な時間を省き、よりよい音楽を作っていく事ができる。

そのためのコミュニケーションを特に大事にして欲しい。

 

執筆 nooto SOUND DESIGN(ノオト サウンドデザイン) 澤田真吾
http://www.nooto-sound.jp/